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クリスマスライトの中で光る金魚たち
〜日本のカルチャーと
クリスマスの要素が混在する
異世界で金魚たちが泳ぎ輝く

 銀座三越新館8階「アートアクアリウム美術館 GINZA」で、冬の企画展“「燈りにきらめく冬金魚」~アートアクアリウムのクリスマス~”が2022年11月29日(火)からスタートします(〜12月26日(月)まで)。




 今回の特徴は、何と言っても初めてのクリスマス企画という点です。これまで国内外で計40回ほども開催されてきたアートアクアリウムは、様々な金魚たちが泳ぐ様子、デザインされた美しい水槽、和の文化を取り入れたストーリー性のある空間で、累計1,080万人以上を動員した人気の展覧会です。そこにクリスマスの雰囲気が入り込むとどうなるのか、相性はどうだろうかと少し疑わしい気持ちで足を運んだのでした。
 
アートアクアリウム美術館 GINZA 金魚のモチーフ
アートアクアリウム美術館GINZA 冬の企画展
「燈りにきらめく冬金魚」~アートアクアリウムのクリスマス~
【2828tokyo撮影】


 しかし、行ってみるとこれは意外にもかなり面白い空間になっていました。まず、入り口付近に灯籠(とうろう)形のライトが無数に吊り下げられています。そこで振り返ると、しんしんと雪が積もる中に浮かび上がるクリスマスツリーが見えるのです。仏教の寺院で見られるような灯りと、クリスマスツリー。この二つが同じ場所にある時点で、ここは常識では考えられない場所なのだと感じられてきます。灯りの向こうには、金魚たちが泳ぐガラスの円柱と、ヘルンフート(星型のクリスマス用ライト)が続き、さらなる異世界へと誘っています。


アートアクアリウム美術館 GINZA金魚
アートアクアリウム美術館GINZA 冬の企画展
「燈りにきらめく冬金魚」~アートアクアリウムのクリスマス~
【2828tokyo撮影】





 「不思議な街で迷ったら、豪華な日本家屋にたどり着き、そこに住む謎の人物の趣味の世界を覗いてしまう」そんな妄想を掻き立てられてしまいます。




 見所といえば、今回初公開で雪見障子をモチーフとした「障子リウム」、切子細工の器が並べられた「金魚の飾り棚」、独特なデザインの「オリガミリウム」、華道家假屋崎省吾氏の手による「フラワーリウム」などと言えるでしょう。アートアクアリウムは、これまで華やかな色彩やデザインで人気を得ていると思うからです。



アートアクアリウム美術館 GINZA入口アジア街路風
アートアクアリウム美術館GINZA 冬の企画展
「燈りにきらめく冬金魚」~アートアクアリウムのクリスマス~
【2828tokyo撮影】



 しかし、私が一番惹かれたのは、「新金魚品評会」と題されたコーナーです。西陣織の豪華絢爛な帯の上に置かれた四角い水槽は、横からでも上からでも金魚を眺めることができるようになっています。明るい照明によって、初めて実感したのは金魚の影の美しさでした。金魚のヒレが光に透けて、影がレースのような模様として水底に落ちるのです。金魚が動くと、影もまた生きているかのように揺らめきます。同時に、金魚たちの模様、動き、水の音を感じるのが心地よく、時間を忘れて見入りました。




 金魚は、約2,000年前の中国において突然変異で生まれ、その後日本に伝わったといいます。そして、ひたすら人間が観賞することを目的に、絶えず品種改良をされてきました。美しさに全てを捧げ、弱さを孕む金魚たちを見ると、美しさが内包する歪み、割り切れなさを感じます。私たちが美しさに惹かれること自体が、罪深いことなのかもしれません。





 さて、実際に会場に行かれた方に、ぜひチェックして頂きたいのがお土産コーナーです。とらやの小形羊羹、銀座松崎煎餅の大江戸松崎 三味胴、銀座菊廼舎の冨貴寄特撰缶など、歴史ある和菓子屋が代表的な人気商品をアートアクアリウムに合わせた特別仕様で出しています。和菓子が苦手な方なら、パレドオールの金魚型ショコラや、神戸風月堂のゴーフルなども良いでしょう。見た目の華やかさもさることながら、このラインナップなら、どれを買っても味のハズレはまずありません。グッズも金魚モチーフが可愛いものばかりで、目移りしてしまいました。

アートアクアリウム美術館 GINZA ツリーと共に
アートアクアリウム美術館GINZA 冬の企画展
「燈りにきらめく冬金魚」~アートアクアリウムのクリスマス~
【2828tokyo撮影】



 行かれない方のためにも会場の様子は動画にしました。しかし、ぜひ会場で、わくわくする世界観と、多種多様な金魚たちを間近で見られる喜びを体感してください。




2828.tokyo


調査地:アートアクアリウム美術館 GINZA

公式サイト:https://artaquarium.jp
場所:東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越8階(入場は新館9階) 地下鉄銀座駅より徒歩1分
営業時間:10:00 〜 19:00 ❇︎WEB・当日共にチケット購入時に日時を指定して入場
電話:03-3528-6721
チケット:❇︎大人1名につき小学生以下のお子様2名まで無料
当日券2,400円(銀座三越新館1階の券売機で販売)
WEBチケット2,300円(チケット販売:https://ticket.artaquarium.jp

説明:

「アートアクアリウム」は、2007年に初めて開催された展覧会(2011年までの名称は「スカイアクアリウム」)。観賞魚の貿易業を営んでいた木村英智氏が、世界中を旅した経験から、アート、デザイン、エンターテインメントの融合を目指して企画を構想し、実現した。スタイリッシュに鑑賞魚を見せる空間を作り上げ、期間限定のイベントとして国内各地で開催後、イタリア・ミラノや中国・上海へも展開している。回を重ねるごとに、魚は金魚に絞り、日本の伝統文化をモチーフとするなどコンセプトを磨き上げていった。2020年には、日本の文化芸術の振興を目指した文化庁のプロジェクト「日本博」の認可、支援を受けて専用施設を日本橋にオープン。施設は2022年に銀座の現在地に移転した。